2018/02/18
こんにちは、和歌山のうさぎ専門店キャロットハウス店長のきゃろたまです。
2018年9月24日(月)、大阪で開催された「うさぎの栄養学セミナー」を受講させていただきました。
講師は、長年小動物用のフードやサプリメントを研究・開発されていて、自然界でのうさぎの暮らしや食性をもとに、わかりやすく面白くいつも講義してくださる上田健治先生。
この記事では、うさぎが健康で長生きするためには、どのようなことに気をつければいいか、当日のセミナーの要約をしました。
なお、主催のココロのおうち様から記事作成について快諾してくださいましたこと、改めて感謝申し上げます。
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日本でのうさぎ飼育の歴史
日本でうさぎ飼育が盛んになったのは、第2次世界大戦中。食用や羽毛を採る目的で飼育されました。このときに学校でも飼育されるようになったため、今でも学校で飼育される動物として人気があります。
かつて日本でたくさん飼育されていた日本アンゴラ種は、戦後海外へも輸出されましたが、現在、日本アンゴラ種は、動物園で飼育されているのみで、今日、ペットとしてなじみがあるのは、ネザーランドドワーフやホーランドロップといった小型品種が中心です。
うさぎの小型化にともなって、歯の噛み合わせが悪くなり、前歯や奥歯が伸びすぎる「不正咬合」が見られるようになりました。
不正咬合が疑われる症状とその予防について
熟練したうさぎの飼い主さんなら、うさぎの歯は前歯、奥歯ともに一生伸び続けることは知られているのですが、飼いはじめの方は意外と知らない人もいるとのこと。
よだれが出る、食べる量が減った、涙が多いといった症状が見られた場合は、一度動物病院で歯を診てもらったほうがいいでしょう。
また歯の伸びすぎ防止として「かじり木」を使用する飼い主さんもいますが、効果はないというお話でした。
歯の伸びすぎを防ぐためには、チモシーに代表されるイネ科の乾草を食べるのが一番いいのです。
乾草を食べるメリット
歯の伸びすぎ防止以外に、牧草を食べるメリットをまとめてみました。
・胃腸の運動を助ける
・摂取した体毛をからめて体外へ排出する
・盲腸内での対流を維持、改善してくれる
尿石症について
うさぎはカルシウムを体内にとどめることができないので、過剰なカルシウムは尿として排出されます。
シュウ酸を含む野菜は、尿石症のリスクを高める危険性があり、メチオニンが添付されているペレットは、尿石症のうさぎにおいてはリスクを高めてしまう可能性があるとのこと。
犬猫においては、メチオニンを投与することで、結石を抑制することができるが、うさぎの場合はメチオニン中の硫酸イオンとカルシウムと結合して水に溶けにくい硫化カルシウムを形成するため、尿石予防としてのメチオニンは期待できないのです。。
カルシウムを過剰に摂取し続けると、腎臓や大動脈の石灰化を増長するので、早急な改善が必要です。
また、ビタミンDの過剰摂取は、血管の石灰化を増長するため、こちらも注意が必要です。
幼齢子うさぎの胃腸
幼齢期(生後6週齢まで)子うさぎの胃は、母乳をもとにしてできる「ミルクオイル」によって腸内の微生物が制御されています。6週〜7週齢で致命的な下痢を起こしやすいのは、ミルクオイルの消失と、デンプン消化酵素が十分でないことが原因。
6週齢以降に徐々にミルクオイルが消失して、大人のうさぎと同じようにph1〜2に発達します。
7週齢頃までは、摂取したデンプンを消化する酵素の働きが十分でないので、ペレット中のデンプン含有量は15%以下が望ましいとのこと。
生後42日程度の子うさぎに、クッキー類やウエハース、グラノーラなどでんぷん質を多量に含んだおやつは避けるべきで、大人のうさぎでも、でんぷんの過剰摂取は、腸毒素症を招く恐れがあるので避けるべきです。
うさんぽと運動
最近、屋外でハーネスをつけて遊ばせる「うさんぽ」がありますが、うさぎは本来薄暮薄明性の動物なので、日中ひなたで頻繁に遊ばせることは、白内障や角膜炎を引き起こす危険性もあります。
また紫外線ライトも目を損傷する危険性があるので使用を避けるべき。
屋内で十分なスペースをとって遊ばせたいところですね。
さいごに~うさぎの生態を理解して食生活に注意すること
さいごに、ペットとして身近な存在になったうさぎですが、野生のうさぎの生活に照らし合わせて、食生活を見直してください。
追記:ご講演くださいました上田健治先生が、10月初旬に亡くなられました。本当にまだまだ先生には教えていただくことがたくさんあるのに残念でなりません。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。